
エンジンではなくモーターの駆動力で走るEV。
モーターを動かすにはバッテリーが必要となります。ただ、バッテリーと言っても、普通のバイクよりも大容量のものが使用されますし、車両によっては全く違う種類のバッテリーもあります。そのバッテリーに着目してみましょう。
動力源となるモーターを電気で動かすEVにとってバッテリーはもっとも重要な要素のひとつです。EVの進化の鍵はバッテリーが握っている、そう言っても過言ではありません。特に二輪EVの場合は、バッテリー搭載スペースが限られているため、運動性能を損なわない程度の大きさのバッテリーに、どれだけの電気を貯められるかが課題となるわけです。
現在メジャーとなっている3種類のEV用バッテリーについて考えてみましょう。
自動車からバイクまで、幅広く使われているのが鉛バッテリーです。
製造するコストも安く、また繰り返しの充電にも強いため、多くの車両が採用するメジャーなバッテリーです。+極、-極に鉛または鉛の合金板を使用し、バッテリー液(電解液)には希硫酸を使用するのが一般的な構造です。
鉛バッテリーには構造の違いから、開放型、密閉型(MF)があります。開放型は、電解液を補充できるタイプのことで、MF(メンテナンス・フリー)バッテリーと呼ばれる密閉型は、電解液の代わりにゲルを使用した完全密閉型、ほかにもスポンジに電解液を染みこませたドライバッテリーなどがあります。どちらも密閉されているため、液の補充はできません。
既に150年近い歴史を誇る鉛バッテリー。安定性と手軽なコストが魅力だが、二輪EVに積むには重量と
サイズがネックとなる。
鉛バッテリーの電動バイク
- 東京マルイ タイプC

- メーカー希望小売価格:99,750円(税込)
- プロッツァ EV-R55

- メーカー希望小売価格:226,800円(税込)
- プロッツァ MILETTO

- メーカー希望小売価格:156,900円(税込)
EV用のバッテリーとして、いま一番注目されているのがリチウムイオンバッテリーでしょう。いまやノートパソコンや携帯電話など小型モバイル機器には欠かせないバッテリーで、我々の生活にもとても密着した存在です。
このリチウムイオンバッテリー最大の特徴は、小型・軽量で高電圧という点です。バッテリーの性能を表す単位でエネルギー密度というものがあります。これはある体積、ある重量での電池容量を示すのですが、リチウムバッテリーはこの数値が鉛バッテリーに比べて非常に高い値なのです。
EVは利便性を追求していくと、長い航続距離が求められますが、そこで重要なのはやはりバッテリーの容量。とは言っても、バッテリーをたくさん積んで重くなれば航続距離は短くなりますから、大きな電気容量を持ちつつ、軽いバッテリーが必要とされるのです。そんな理由から世界のEV界ではリチウムバッテリーに大きな期待がかかっているのです。
小型・軽量が特徴で、近年最も開発が進んでいるバッテリーだ。今後主流となる可能性が大きい。
リチウムイオンバッテリーの電動バイク
- エネクスオートe-runner

- メーカー希望小売価格:207,900円(税込)
- キムコ SUNBOY

- メーカー希望小売価格:198,000円(税込)
- ヤマハ EC-03

- メーカー希望小売価格:252,000円(税込)
電解液に劇物の希硫酸が使われる鉛バッテリーとは異なり、電解液に、シリコンを用いたものがシリコンバッテリーです。
希硫酸を使用する鉛バッテリーでは電極に硫化物が堆積し、充電や放電がしにくくなるサルフェーションという現象が発生しますが、電解液にシリコンを用いればその心配もありません。また、充電時間が大幅に短縮できること、自己放電が少ないこと、同サイズの鉛バッテリーと比べても大きな電気容量を持つこと、希硫酸を使用しない安全性もメリットです。
ただ、製造にまつわる特許などの理由から、どこでも生産できるというわけではないようです。また価格についても鉛バッテリーに比べると高価なことから、二輪EVではまだ一部車種にしか使用されていません。
安全性と高寿命が魅力のシリコンバッテリー。世に出て間もないバッテリーだが、コストの問題がクリアできれば大きく普及する可能性もある。
シリコンバッテリーの電動バイク
- テラモーターズ SEED48

- メーカー希望小売価格:118,700円(税込)
- テラモーターズ SEED60

- メーカー希望小売価格:168,700円(税込)
アルカリ電池やマンガン電池などの使いきりの乾電池などは一次電池と呼ばれますが、繰り返し充電が可能なバッテリーは二次電池と呼ばれています。つまり、バッテリーは蓄えられた電気が消費しても充電を行うことで、再び使えるようになるのです。ここではそんな充電について考えてみましょう。
家庭用コンセントに専用の充電器を接続し、車載バッテリーへ充電を行う方式は数多くの車両が採用する。
現在多くのEVでは、家庭用100V電源で充電が可能な仕様となっていますが、その際には専用の充電器を使用します。各EVの充電時間は、搭載するバッテリーの種類や容量、使用する充電器によって異なります。また、満充電までの時間は鉛バッテリー車よりもリチウムバッテリー車の方が短いことが分かります。
充電器は車体に標準装備する場合と車体と別に購入する場合の2パターン。ほとんどの車両で携行性を考慮したサイズとなっている。
バッテリーの充電方法には普通充電と急速充電がありますが、急速充電を繰り返すとバッテリーへの負担が大きくなり、バッテリー寿命を大きく減らす結果となってしまいます。そのため、各社のEVも、バッテリーの種類や特性に合わせて負荷の少ない充電方法を取っているようです。
誰もが気になる電気代。一回の充電で25円近辺が主流だ。
※ 夜間電力を使用すればさらにローコストとなる。
バッテリーはその特性からリチウムイオンバッテリーでは2~3時間、鉛バッテリーでは7~8時間という充電時間が平均的です。ランニングコストに直接関わる部分ですから、やっぱり電気代が気になりますよね? 専用の消費電力測定機を使って、これまで編集部で調査した結果では、満充電までにかかる電気代の平均金額は25円程度という結果が出ています。現状では充電に時間こそかかるものの、電気代はかなり安いといえるでしょう。
EVの進化を支えるバッテリーは、想像以上のスピードで性能が向上しています。小型・軽量で大容量とEVが求める理想に着実に近づいているのです。それだけではなく、ユーザーの使い勝手を考慮してバッテリーの形態にも新たな流れが生まれつつあります。
小型、軽量が特徴のリチウムイオンバッテリーであれば、車体から取り外すことも可能。
駐輪場に電気設備がなくても安心だ。主に鉛バッテリー搭載車では、車体にバッテリーを載せた状態で充電を行います。しかし、この場合バイクを充電する場所にコンセントなり、電源供給用のコードを引っ張ってくる必要があるため、出先や集合住宅の駐車場などでは充電ができない、といった問題が出てくるわけです。
外したバッテリーは自宅や出先などでコンセントにつなげば充電ができる。
バッテリー開発が進めば更なる小型化も可能かもしれない。
リチウムイオンバッテリーを採用する一部の車種では、バッテリーを取り外し可能な方式としているため、仮に駐輪場に電源がなくても、バッテリーを取り外して電源のある場所で充電が可能になっているのです。この方式は非常に有効で、今後主流になる可能性を秘めています。
インフラの整備が将来のEVの仕様を決めると言っても過言ではない。
モーターやバッテリーの性能はメーカーの努力でなんとでもなりますが、社会のインフラばっかりは、国や地域レベルでなければなかなか進まないもの。これから充電スタンドの設置などが進めば、バッテリーの形態もさらに大きく変わるかもしれません。
(写真左)
公共の二輪EV用充電スタンド。
(写真右)
現在自動車用として開発が進む非接触型充電システムだ。こうしたインフラが整うことがEV普及の大きな鍵を握っているのだ。
取り外し充電可能な電動バイク
- エネクスオートe-runner

- メーカー希望小売価格:207,900円(税込)
- キムコ SUNBOY

- メーカー希望小売価格:198,000円(税込)
- 東京マルイ タイプC

- メーカー希望小売価格:99,750円(税込)
- プロッツァ MILETTO

- メーカー希望小売価格:156,900円(税込)









